どれぐらいの時間がたったでしょうか。トロがふにゃふにゃと眠そうなあくびを始めたころ、それはやってきました。 「あ! ――流れ星ニャ!」 突然、トロが大声を上げました。 サクラがトロの視線を追うと、ひときわ大きな星がスーッと夜空を横切っています。 「急いでお願いしなきゃ!」 トロもサクラも居住まいを正し、目を閉じて手を合わせました。 「人間になれますように……。人間になれますように……。人間になれますように……」 「虹色の雲が見たい! 虹色の雲が見たい! 虹色の雲が見たい!」 願いごとを3回となえたサクラとトロは、おそるおそる目を開きました。すると、流れ星はまだ消えず、ゆっくりと夜空を横断しているではありませんか。 「わ〜い! これでトロのユメもサクラのユメも、きっとかなうのニャ〜!」 トロは、喜びのあまり小躍りしています。しかし、サクラは流れ星から目が離せません。なぜなら流れ星は消えるどころか、みるみるうちにサクラたちめがけて近づいていたからです! 「ちょ、ちょっとトロ。あれ見て!」 「あにゃ! 流れ星が……!!」 ズドーーーン!!!! 雷のような閃光と轟音、大地震のような揺れと衝撃。 サクラとトロが願いをかけた流れ星は、夢咲町の裏山に落ちてしまったのでした――。 サクラとトロは、慌てて部屋を飛び出しました。アパートの住人たちもみな、何が起きたのかとドアから顔をのぞかせています。 「流れ星が落ちたらしいよ」 「裏山に墜落したんだって」 「キラキラしたカケラが、パラバラに散らばってたみたいだけど……」 口々に言い立てるみんなの声を背中で聞きながら、サクラとトロは夢見荘を後にしました。ふたりは夜道を駆け抜け、星が落ちた裏山へと向かいます。 転がるように走るふたり、その姿を小さな黒い影が、遠くから見守っていました。
裏山に落ちてしまった流れ星……。サクラとトロが流れ星にお願いした夢は、いったいどうなるのでしょう?
心やさしい人々が暮らす夢咲町で、サクラとトロの楽しいお話が、いま始まります。どんなお話かは、小説『どこでもいっしょ トロと流れ星』でお楽しみください!